和歌解説

高嶺の花すぎて届かない恋|新古今和歌集・葛城山の白雲に想いを重ねて

高嶺の花すぎて届かない恋
koiwaka

原文

よそにのみ
見てややみなむ
葛城や
高間の山の
峰の白雲

(新古今990・読み人知らず)

現代語訳

遠くから、
見ているだけでいい。

そう思おうとしても、
視線はいつも
あなたを追ってしまう。

葛城の高い山の峰に
ふわりと浮かぶ白雲みたいに、
きれいで、
触れたくて、
でも近づくほど
遠い。

届かないと知っているのに、
想うことだけは
やめられなかった。

背景・登場人物

作者は不詳。

この歌は、
身分や立場の違いによって距離がある恋として
古くから読まれてきた。

葛城山の「高間の山」は、
ただ高いだけじゃない。
簡単には登れない場所

白雲は、
そこに確かにあるのに、
触れようとすると
形を変えてしまう存在。

この歌の「君」は、
最初から
高嶺の花だった。

解説

この和歌がエモい理由は、
諦めきれていないところにある。

○和歌構造

  • 「よそにのみ」
    → 距離を置こうとする理性
  • 「見て」
    → それでも向いてしまう感情
  • 「白雲」
    → 近づけないほど、惹かれる存在

行動は何も起きていない。
でも、心の中では恋が完結していない

○恋愛心理として読むと

これは
「叶わないから終わる恋」じゃない。

叶わないと分かってから、
本当の恋が始まってしまった状態

だから苦しいし、
だから忘れられない。

恋の指針(1行で刺す)

高嶺の花だと知っても、想ってしまう心は止めなくていい。

ABOUT ME
大地
大地
編集長
『恋愛和歌集』編集長。
中央大学文学部卒。
みなさんの恋愛が、うまくいきますように。
記事URLをコピーしました